施工事例レポート
CASE REPORTS

世田谷区大蔵一、四丁目付近枝線工事|(東京都)

泥濃式2段折掘進機を製造後、現場搬入
発進立杭より泥濃式曲線掘進機を油圧ジャッキにて推進
現場内資機材置場の周辺への環境対策(防音・防塵対策)

工事背景

都市のインフラとして欠かせない下水道施設。東京都でも下水道局が先頭に立ち、公共事業を通じて都市生活や経済活動で発生する汚水を流して処理するだけでなく、1時間に50mmの降雨でも対応できる施設整備を行っています。



特に浸水被害の影響が大きくなりやすい、大規模地下街や一定規模以上の床上浸水が集中して発生した地域では、1時間に75mmの降雨でも対応する機能を持たせるよう整備を進めており、近年、発生回数が多くなっているゲリラ豪雨などで生じる浸水被害から、23区を守る努力を注いでいます。



本工事も、その取り組みの一環として実施されました。実は、施工直近に台風や集中豪雨による地下駐車場の冠水で、40台以上の車が水没全損する被害が発生していた経緯から、住民のみなさんからの整備要望が強く寄せられていた施工地域です。そのため、家庭から出る排水を直接受ける管である、枝線の整備を進めることになっていました。

施工にあったての課題

本工事では、被害に遭われた地域住民のみなさんの不安払拭を大前提に、少しでも早く着工することが命題として挙がっていました。そこで、東京都下水道局の南部下水道事務所をはじめ、道路管理者である世田谷区役所、許可申請を担う警視庁本部や成城警察署、各種ライフラインを埋設する水道局、東京ガス、東京電力、NTTなどとの協議・調整による、早期計画立案が求められていました。



その動きの中、当初の設計案では、下水管が道路の中心部に位置するため開削工事を施す大蔵通りに関して、工事規制を夜間通行止にしかかけられないことが、警視庁本部と成城警察署との協議により判明しました。



当時の状況を振り返り、「交通量が長期の通行止作業ができない環境であること、他のインフラ関連の既設管が縦横に張り巡らされていること、曲線部もあることなどを考慮に入れると、当初の設計案では厳しくなると気付きました。それら課題を解決する新たな設計を求められ、早急に代替案を煮詰めていったのを覚えています」と、本工事の責任者である戸田道路の益山は話します。

導入した技術や工夫

施工の現場環境を考慮し、最適解として益山が導き出したのは、夜間の通行止施工による開削工法ではなく、昼間(一部舗装は夜間の施工で対応)の片側交通通行施工で、掘削された地盤をリアルタイムで可視化しながら、曲線部も苦にせず工事できる、泥濃式による特殊推進工の採用でした。「それまでの自分の経験則から、これが一番適している、と。長距離・急曲線を低推力で施工でき、軟弱地盤から玉石層まで広範囲な地盤に対応できますからね」と益山が解説します。



さらに、場所の状況によっては、低耐加力方式の施工で世田谷区が管轄する既設管を活かしながら、鋼管さや管方式で内面に被膜も施すなど、適所の工法選択で本工事を進めていきました。これらの采配が功を奏し、施工がスムーズに進行。予定より早く施工を終えることにつながっています。



課題解決に導くこだわりは、工法だけに留まりません。現場内に仮設置き場を設置する際も、騒音などの周辺への影響を抑止するため防音柵を設置。砧公園内の常設プラント周囲に、夜間イルミネーションを装飾してイメージアップを促進。夏季の熱中症対策には、ミスト扇風機や氷冷機を用意するなど、本工事では周辺のみなさんや汗を流す作業スタッフたちにも、やさしい現場として施工に当たりました。

取り組みの成果

無事故でクレームもほぼなく、期間内に無事、完工できた本工事。区間毎に最適な工法を駆使した手腕が大きく評価され、75点の優良という工事評価点をいただくことに。



また、施工期間中は毎週金曜日、現場に従事するスタッフ全員参加のもと、現場周辺のごみ拾いや清掃を実施して、環境美化に努めました。さらに、冬季に2回積もった大雪時には、現場内とその周辺の住民のみなさんの交通の便確保に向け、スタッフ総出のもと現場のバックホーも駆り出して雪かきを率先。暑かった夏季には、発注者の職員や自治会の協力を得ながら、地域住民のみなさんと打ち水大作戦イベントを実施するなど、終始、地域との交流を絶やさず、インフラ整備への理解を深める配慮も怠りませんでした。



そういった取り組みが地域のみなさんからたいへん喜ばれたのと同時に、発注者の東京都下水道局の南部下水道事務所所長からも「見える、わかる、下水道工事コンクール」の事務所長賞をいただくカタチで評価されています。



「戸田道路は、道路以外にも様々なライフラインづくりに携わっています。今はまだ東京がメインですが、私自身も含め下水道の実績も積み重ねてきました。この社会がある限り、途絶えることのない社会基盤の領域で、末永く社会に貢献していける━━しかも、一人ひとりの技術者が大きな裁量を持って、地域の抱える課題の解決に挑める。なかなか味わえない醍醐味を実感できると思いますよ」という益山のコメントからもわかるように、目で見える部分の道路だけでなく、その下で人々の生活を支えている社会インフラまで、戸田道路の守備範囲は拡がっています。


大雪の際、現場従業員全員で周辺の除雪作業
下水道局職員と大蔵東部町会長(安藤氏)と大蔵運動公園にて地域住民の皆様と水打ちイベント実施
週に一度全員で周辺のゴミ清掃実施

工事概要

分野
舗装工事
採用した工法・技術
小口径推進 内面被覆 鋼管深礎
本工事の担当拠点・代表技術者
東京本社 益山 明
本工事の発注者
東京都下水道局
本工事の工事エリア
東京都世田谷区大蔵一、二、四丁目付近
本工事の工期
2012年10月22日~2014年10月24日
小口径推進・内面被覆・鋼管深礎の工事概要
大蔵通り 特殊推進工(泥濃式) 200.35m(Φ600mm)
207.05m(Φ800mm)
特殊小口径推進工(鋼管さや管方式) 7.35m(Φ200mm)
14.45m(Φ300mm)
35.05m(Φ700mm)
特殊小口径推進工(低耐加力方式) 41.9m(Φ450~500mm)
美術館通り 小口径推進工(泥濃式) 252.65m(Φ1000mm)
管渠内面被覆工(反転・形成方式) 508.3m(Φ280~380mm)

※上記以外の箇所は開削工法


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