施工事例レポート
CASE REPORTS

平成28年度城南野鳥橋落橋仮設切廻し道路整備工事|(東京都)

工事背景

東京都大田区にある人工島、城南島。地域内の多くは工業用地や埠頭用地、コンテナ・トラック荷台の集積・保管や受け渡し場所などに活用されており、まだまだ開発・造成中の箇所も散見されるエリアとなっています。



島への行き来には、大田区東海とつながる城南野鳥橋が利用されていました。しかし、橋を含む道路が、地震などの大災害発生直後から緊急輸送を円滑に行い、防災拠点を相互に連絡する緊急輸送道路(都知事指定)に定められており、耐震対策をより強固にするため、すでに埋め立てられている橋の下に平面道路を整備する計画が進められています。その準備段階として、本工事では城南野鳥橋の撤去に向け、仮設切廻し道路を整備することになりました。

施工にあたっての課題

本工事の区間は、現況の道路が片側3車線合計6車線で、平日から一般車両に加え船舶用貨物車両の通行が非常に多い港湾道路でした。時間帯によっては渋滞が発生する混雑ぶりのため、通行止めによる施工が許されず、車両や歩行者の通行を封鎖することなく、いかに安全でスムーズに切り替えるかが大きな課題となっていました。



また、本工事の名称に仮設とありますが、実際は城南野鳥橋を撤去して新たな道路を整備する間、道路利用者に対して現況の道路と同様の通行空間の確保も命題でした。そのため、新たな道路づくりと、なんら変わることのない施工が求められました。



「建設などで発生した残土を受け入れるスペースとして、徐々に埋め立てが進み、城南野鳥橋の下も陸続きになりました。災害発生時の大事な輸送インフラとしての機能を高めると同時に、これまで以上に城南島の利用度を高める意味合いからも、仮設切廻し道路とはいえ、一切の妥協を許さず取り組もうという気持ちで臨みましたね」と、本工事の責任者である戸田道路の小笠原は語ります。



しかし、課題はまだあります。2020年東京オリンピック・パラリンピック開催の影響から、東京港湾地区でも関連工事が数多く実施されており、都内の道路整備工事としては大型案件にあたる本工事の作業人員や施工機械、使用資材などを、いかに調達するかも難題でした。



さらに、計画段階では車道部にある既存の大型集水枡(もとは道ではないため、ふたもされていなかった)にリースで調達する履工板でふたをかけ、その上を車両通行させるプランでした。この案では、城南野鳥橋撤去が数年に及ぶため、履工板周辺の路面損傷と頻繁な維持管理の負担、安全確保への疑問など、戸田道路では問題視せざるを得ない状況でした。

導入した技術や工夫

本工事の施工に際し、薄層舗装ですべり止め効果を高めながら、切廻しにより発生するカーブ部の注意喚起の狙いからカラーリングを施し、仮設とはいえ現況の道路とそん色ない仕上がりの道路を、期間内に無事故でつくりあげました。



また、現況の道路接続部分に関しては夜間に車線規制をかけて実施。利用者の安全を第一に、管径各部門と協議を重ね、片側3車線合計6車線の1車線ごとに段階的に切り替える方法で進め、約3ヶ月間にわたって作っては切り替えるを繰り返しながら施工しました。



同時に、作業人員や施工機械、使用資材の調達に関しても、事前より綿密な計画を立て、周辺で行われる他の工事よりも早い調達を敢行。協力会社や取引会社のみなさんの協力体制にも助けられ、過不足なく適時適量の調達で難を逃れることに成功しました。



そして、車道にある既存の大型集水枡に被せる履工板に関しては「当初の舗装面と同じ高さで設置する計画から、再度、独自に強度計算に取り掛かり、舗装を補強し作業員が出入りできる点検口を設けた上で埋設するプランを提案。頻繁な履工板の維持管理や補修が不要になり、点検口設置用特注高強度覆工板を使用して、十分な運用可能なことも明らかにしました。発注者や道路管理者などから好評をいただき、無事、了承されました」と小笠原が解説するように、戸田道路の働きかけで、より機能的な仕組みとして採用される運びとなりました。

取り組みの成果

都内では珍しい道路づくりの大型案件でも、如何なく実力を発揮した戸田道路。段取りよく施工を進めていった進捗管理術、技術ノウハウに裏打ちされた的確な技術提案、そして本工事の施工中に、発注者の管轄圏内で急遽発生した道路補修工事への惜しみないアドバイスや協力など、その取り組みが総合的に認められ、発注者工事評価において優良となる高得点をいただくこともできました。



「これからも東京湾周辺の開発や改修は継続されていきます。その大役を担う資格を、本工事の成果で取得できたのかな、と自負しています。自分自身や後進の若手たちの手で、未来の東京に貢献できるチャンスを増やせたのは、やはり誇らしいですね。それくらい大きなやり甲斐や達成感を手にすることが、戸田道路では充分可能ですよ!」という小笠原のメッセージで、最後を結びます。

大型集水桝強度補強
大型集水桝舗装下埋設ひび割れ抑止処理
路床安定処理
アスファルト舗装
薄層カラー舗装(樹脂・骨材散布)
薄層カラー舗装(マスキング材撤去)

工事概要

分野
舗装工事
採用した工法・技術
本工事の担当拠点・代表技術者
東京本社 小笠原 亨
本工事の発注者
東京都財務局(東京都港湾局東京港建設事務所)
本工事の工事エリア
東京都大田区東海6丁目および同区城南島7丁目地内
本工事の工期
2017年1月16日~2018年4月27日
本工事概要
工事総延長
771.8m
施工幅員
27m
掘削床堀
6160㎡
路床安定処理
11338㎡
車道舗装工
12990㎡
歩道舗装工
2881㎡
薄層カラー舗装工
8,959㎡
レベリング舗装工
1093㎡
側溝工
3206.1㎡
集水枡工
17基
歩車道境界ブロック工
1053.7m
中央分離帯工
1088m
路側防護柵工
2101m
防止柵工
1034.4m
照明灯基礎工
24箇所
照明配管布設工
925m(Φ30)
既設集水枡防護工
一式
信号機移設工
一式


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