国道163号他北大阪管内舗装修繕工事|(大阪府)
工事背景
首都・東京に次ぐ第2の大都市圏、大阪府。大阪市内中心部と府境をまたいで広く関西圏を結ぶ基幹国道の数々が、多くの人たちの暮らしや経済を支えています。それに呼応するように、連日、膨大な車両や通行者の利用があり、国道の維持・管理には多大な労力が割かれています。
国土交通省の近畿地方整備局に属する大阪国道事務所では、常に道路状況や状態の確認が行われており、直轄する国道1号、2号、25号、26号、43号、163号、165号、171号、481号の主要10路線・総延長208.5kmに関して、経年劣化によって生じたポットホールと呼ばれる穴やくぼみ、亀の子と呼ばれる亀裂や段差など、不具合の発生している舗装箇所については、適時、修繕作業を進めています。
本工事も、そうした取り組みの一環として、国道163号と1号、2号の修繕がとり行われることになりました。
施工にあたっての課題
本工事の各工事区間の調査に取り掛かる中、近隣の路面の痛んだ箇所の新たな発見があり、それに伴う修繕方法などの協議や提案を、発注者と密にやりとりしながら進めました。そのため、当初計画より区間が増えたり伸びたりすることになり、改めて施工区間を決定しながらの施工となりました。
また、3路線で複数個所にわたる不具合箇所の修繕になるため、市街地をはじめ自動車専用道路や山間部など、周辺環境の異なる場所での施工となります。いずれも交通量が多く、施工は22時スタートの翌6時終了という時間帯で行われることに。夜間がメインとなり、重機の運搬や作業時の安全確保と共に、それぞれの沿道や周辺地域に即した注意喚起と騒音・振動・粉塵などの影響対策が不可欠となっていました。
施工場所の環境がすべて異なってくるため、注意喚起や工事影響抑止のために準備する資材が多岐にわたりました。当たり前ですが、どれひとつとっても疎かにはできず、計画段階から煩雑な仕込みを進めるため、頭を悩ませたのを覚えています。また、沿道住民への個別説明が数千件に及ぶこともわかっていたため、ご要望をうかがった上での工期調整にも苦心しましたね」と、本工事の責任者である戸田道路の北野は振り返ります。
導入した技術や工夫
本工事では、受注と同時に工事内容や施工期間の説明を沿道住民に向けて開始。飲食店をはじめとする店舗などと施工期間の調整を図り、店舗の休日などに作業をスライドさせるなど、実際の施工がスタートするまで複数回にわたり訪問を繰り返し、理解と協力を求めていきました。
加えて、施工時の交通事故などの防止に向けても、通行車両からの視認性が高い大型LED標識車を用意。認識精度の高い高輝度予告看板や工事予告車両なども配置して、可能な限り接触や追突などの事故が発生しないよう備えました。
そして、実際の施工時には、切削粉塵による沿道建物や道路利用者への飛散・付着・スモーキング現象を、界面活性剤系のバブルによって発生・飛散を低減させる、粉塵防止システムを装備した切削機を使用。騒音対策には、排気騒音を低減する空圧ハンドブレーカーで作業を進めるなど、NETIS登録の機材により周囲への影響を最小限に留める工夫もこらしました。
そうして、ポットホールや亀の子などの大きさに合わせ、舗装表層を5~15cm削り、その箇所をアスファルトにゴムの特性を添加して改質。耐劣化・耐摩耗性に優れた高機能ゴム入りアスファルト乳剤による排水性舗装で補修しました。「施工中に資材の搬入や撤去で出入りする10tトラックが走っても、新たに補修した路面を引きずって跡を残さないよう、アスファルトの把握力・接着力が優れた乳化材をチョイスしました。施工後の骨材の飛散防止にも効果的で、路面寿命を延ばすことに大きく寄与できたと思います」と、北野は語ります。
取り組みの成果
広範囲かつ何箇所にもおよび、それぞれ周辺環境の異なる本工事でしたが、無事故はもちろん、沿道からのクレームもなく、工期内に余裕を持って早期終了する運びとなりました。発注者からの評価も高く、優秀建設技術者の表彰も受けることになりました。
「計画の立案と準備、沿道への訪問など、地道な作業を積み重ねて施工に臨み、狙い通りの上質な仕上がりで納めることができました。きれいになったねぇと沿道住民の方から声を掛けてもらうこともでき、技術者冥利に尽きる案件でしたね。本案件でもそうでしたが、私は担当が決まった工事は、その瞬間から施工現場周辺のみなさんへの周知徹底に自分事として親身に動き、準備を進めていくスタイルで通しています。みなさんの協力がないと、どんなに最新の技術を導入する施工でも、止まってしまいますからね」と話す北野のように、まずは技術者一人ひとりの主体性を尊重して、大きな裁量を持たせて任せていくのが、戸田道路のやり方。小さな組織の会社ですが、だからこそ現場代理人や所長として一人立ちするまでに、濃密な経験を積み重ねてスピーディにキャリアアップできる環境があると、こっそり自負しています。
工事概要
国道2号線
国道163号線